ドローン、道路を走る。これが近未来の現実かも
飛ぶより走る方が速いことって、ありますね。何かをどこかへ、とにかく早く届けたいとき、最速の手段は多分、飛ばすこと(あ、地下トンネルを高速移動させる、みたいな斬新なアイデアもありますが)。なのでAmazonの究極の配送スタイルは、ドローンを使ったAmazon Prime Airです。同社のジェフ・ベゾズCEOは、Amazon Prime Airが最初に受けた注文は「クリックから配送まで13分で完了した」と豪語しています。
じゃあ将来的には何でもドローンで届ければみんなハッピーなのかっていうと、そうとも言えません。ドローンはトラックに比べるとエネルギー効率が悪く、長時間連続稼動できないのです。Business InsiderによればAmazon Prime Airの場合、ドローンが1回に飛べる距離の限界は現段階で15マイル(約24km)とされています。だって最大2kgの荷物を運ぶために、25kgの機体をよっこらしょと浮かさないといけないんだから無理もありません。でもトラックだったら、1回給油すれば何百kmも走れます。
そこで、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューターサイエンス・人工知能研究所(CSAIL)の研究チームは、状況に応じて車みたいに走ることもできるドローンを開発しました。MIT Newsによれば、その研究成果はIEEEのInternational Conference on Robotics and Automation (ICRA) で発表されています。
CSAILがアップロードした上の動画の中の小さなドローンたちは、町を模した空間の中で、川っぽい部分とか高い建物は飛び越え、細い道は地上に降りてと、必要に応じて走行と飛行を切り替えて移動しています。このシステムは、CSAILがかつて昆虫のクワガタを真似て開発したロボットのFlying Monkeyをベースにしつつ、ロボット同士が衝突しないような経路探索アルゴリズムを開発することで実現されました。
ドローンで効率良い配送をするには、限られたバッテリーでなるべくたくさん飛ぶ必要があり、そのためにはバッテリーは可能な限り大きく、それ以外の余計なものは可能な限り小さくしなくてはいけません。この「走るドローン」も、走る機能を付加することで飛行可能距離が14%ほど減少したそうです。それでも飛行モードならフル充電でも90mしか進めないのに対し、走行モードなら252mと3倍近い移動が可能でした。走行のためにバッテリー容量が多少減っても合計の移動距離を大きく伸ばせたんです。
この論文の主著者で博士課程大学院生のブランドン・アラキさんは、MIT Newsで
飛ぶことも走ることもできる能力は、障害物の多い環境で便利ですよね。地上の障害物は飛び越え、頭上の障害物はくぐることができるからです。通常のドローンは、地上ではまったく動けません。車輪の付いたドローンははるかに機動性がありますが、飛行可能時間の減少はほんの少しです。
と語っています。
Amazon Prime Airもこんなドローンを使って空の道まで含めて自動運転させるようになったら、もっと効率化されて利用料が下がるとか、提供エリアが早く広がるとかがあるかもしれません。それに、今まで見たAmazon Prime Airのデモでは、ドローンの着地には広大な庭が必要なんじゃ…? とも思われましたが、ドローンが地上移動できるなら、普通のアパートやマンションでも無事荷物を届けてくれそうです。
というか荷物の配送に限らず、人間の移動だって、夢は空飛ぶ車です。30年くらいしたら、荷物も人も普通にスイスイ空を飛んだり走ったりしてて、賢い交通整理アルゴリズムのおかげで渋滞も事故もなく、エネルギーは太陽光やら雨やら泥やら人力でまかなえて、ってなるといいですね~。
Image: Brandon Araki / MIT CSAI via MIT News
Source: MIT News, MITCSAIL / YouTube, Flying Monkey, Twitter, Business Insider(福田ミホ)
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